【イベントレポート】マーケティングの基礎を知るワークショップ -擬似経営が体感できるボードゲームと有名企業が行うマーケティング事例-(2019年10月29日開催)

会場:2019年10月29日 (火) 16:00 – 21:00
開催日時:Knowledge Place (ナレッジプラス)
第1部スピーカー/ファシリテーター:
 株式会社NEXERA 飛田恭兵様、山本龍之介様
第2部
 モデレーター:株式会社BOUQUET LAB 山口真由様
 スピーカー(登壇順):
 京セラドキュメントソリューションズジャパン株式会社 高原里実さん
 株式会社サムシングファン 佐藤淳一様
 株式会社サイバード 元木理恵様
 Chatwork株式会社 越ヶ谷泰行様

マーケティングの基礎と事例を学ぶ、大学生限定ワークショップが開催されました。モノが売れる仕組みを学べるボードゲーム「Marketing Town」をプレイした後、実際の企業様より具体的なマーケティングの話を伺うという盛りだくさんの内容で、イベント後には懇親会も行われました。

経営視点のマーケティングを疑似体験できるビジネスボードゲーム「Marketing Town(マーケティングタウン)」

「Marketing Town」とは、経営やマーケティングを学ぶボードゲーム。普段、企業研修などで使われている完全版から基礎的な内容をピックアップし、今回のイベント向けに短縮版をご用意いただきました。

導入講義「マーケティングとは?」

はじめに、株式会社NEXERA CEOの飛田様より導入講義がありました。
マーケティングとは、商品を売るための仕組みを作ることであり、いわば経営のエンジン。ものが売れず、顧客との関係性が複雑化している現在では、経営者、マーケターだけが考える領域ではなく、ひとりひとりがマーケティングを意識し、理解する時代。
今日は、経営視点のマーケティングを疑似体験していただきたいとのことでした。

次に、ボードゲームを作られた、同社CBO(BはボードゲームのBだそうです!)の山本様がファシリテーターとなり、ゲームのルール説明、デモンストレーションが行われました。

ボードゲーム「Marketing Town」

Marketing Townの目的は、以下の2点です。
・経営者視点のマーケティングを体感
・会社経営全体の流れを理解

NEXERA様のホームページに、Marketing Townの詳しい説明があります。

プレイヤーは経営者となり、仮想の街「Marketing Town」で小売店を経営します。1か月を1ターン、12か月で1期とし、ターンごとに「市場調査」「出店」「広告」「仕入」「販売」「資金調達」の6つのカードから1つを選んで意思決定を行います。より高い利益を出せたプレイヤーが勝ちとなります。

このゲームの中には、経営の基本フレームワーク4P(製品、価格、場所・チャネル、販売促進)と3C(自社、顧客、競合)の要素が入っており、他のプレイヤーの出方を意識しながらゲームすることで、これらのポイントを体感し、理解を深められるそうです。デモンストレーションのあと、休憩をはさんでゲームが行われました。

実際の企業研修では、このあと2期目・3期目とさらにプレイが進むそうですが、本日は1期のみで終了。
学生の皆さんにプレイしてみた感想などを伺い、最後は
「マーケティングは広い視野で考えることが大事で、会社の構造を意識しながら、社会を捉えることが必要です。今日のゲームを通して、知って体験したことを、社会に出たときに思い出してもらえれば」と締めくくられました。

企業が行うマーケティングの事例

第1部でマーケティングの基礎をゲームで学んだあと、第2部では実際に企業がどういう事例でどういうアクションを行っているか、各企業の皆様よりお話しいただきました。

第2部は式会社BOUQUET LAB 代表の山口真由様に、進行やモデレーターとしてご協力いただきました。BOUQUET LABは、学生を中心とした若者向けイベントの企画運営やイベントを通じて若者のマーケティングの調査を行っている会社で、代表の山口様もなんと現役の女子高生です。


事例1
京セラドキュメントソリューションズジャパン株式会社 髙原里実さん

「Knowledge Placeを利用したデジタルマーケティング」

ナレッジプラスを運営する京セラドキュメントソリューションズジャパン株式会社(KDJ)は、複合機・プリンターをはじめ、関連ソリューションやサービスを提供する会社。今回はKDJの展開するBtoBマーケティングについて紹介いたしました。

BtoBビジネスの場合、BtoCとは違い、基本的に衝動買いはなく、組織の各部門の納得が得られるものが求められます。そのため、多方面のメリットをさまざまな意思決定プロセスに合わせて紹介する必要があります。

現在KDJでは、対面営業と非対面営業を組み合わせたコミュニケーションシナリオをもとにBtoBマーケティングを行っています。まず、展示会・イベント・セミナーなどでいただいた名刺情報をデータ化し、MAツールによるメール・コンテンツの配信を通して各リードの見込み度を測り、次に、スコアに応じて各顧客に応じた接客活動を行っていきます。

今回の会場である「ナレッジプラス」も、BtoBマーケティングにおける貴重な対面接点と位置付けており、こちらを起点としたデジタルマーケティングの流れについて、髙原さんより具体的な紹介がありました。

ナレッジプラスは人と直接出会い、「ビジネスのチャンスを広げる場所」。これからもさまざまなイベントやセミナーを開催し、その価値を高めていきます。


事例2
株式会社サムシングファン(Somethingfun) 佐藤淳一様

「たった10分で理解できる!戦略思考の動画マーケティング」

株式会社サムシングファンは、映像制作から企画提案分析も手掛ける、動画マーケティングの専門会社。
そんなプロの目線で、佐藤様の考える動画マーケティング戦略についてお話しいただきました。

動画の広告費は年々増加しており、企業・学生への調査結果からも重要度が高まっていることが伺えます。企業の動画活用シーンは多岐にわたりますが、活用成功のためには3つのポイントを押さえることが大切とのこと。

・ターゲットの状況と目的を整理する
・コミュニケーションを意識する
・動画の視聴データを分析し改善する

一か八かのキャンペーンにしないためにも戦略思考をもった動画マーケティングが重要だと話されました。

また、最近の動画戦略のキーワードは、「一方的な伝達から、双方向的なコミュニケーションへ」。見た後にアクションを起こさせる、インタラクティブ動画が普及してきているとのことです。例えば、クーポン付きの動画、ダウンロードボタンや「詳しくはこちら」の誘導ボタン付きの動画など。

動画は単純な再生回数を追うだけなく、本当に効果があったかどうか分析できることが重要なので、これからは、成果を見ながら改善していく「アジャイル型」のキャンペーンが流行っていくだろうとのことでした。


事例3
株式会社サイバード 元木 理恵様
「時代の波にのって生き残る!~Voice UIを仕事にすること~」

株式会社サイバードは、モバイルゲームなどのコンテンツやWebプラットフォームの開発・運営を行う企業。

元木様の所属されているVoice UI部は、簡単に言うと音声のコンテンツを作る部署とのこと。Voice UI(VUI)とは、amazonのalexaのような、声で端末をコントロールできるようにするもののことだそうです。
VUIの市場はまだ成熟しておらず、ビジネスとして成立させ、市場を拡大するためには、以下のような施策が必要で、今後行っていきたいとのことでした。

・デバイスの環境を整える、できることを増やす
・スキルやアクションを使う人を増やす
・大企業がもっとスキル・アクションを作る
・インフルエンサーが必要
・キラーコンテンツを生み出す

大学生の皆さんには、会社に属しながらもコミュニティーを作って色々な活動をする「サラリーマンイノベーター」となり、会社で得たスキルや経験を色々な場所で発揮してほしいと話されました。


事例4
Chatwork株式会社 越ヶ谷 泰行様
「マーケティングのマインドセット~企画の考え方について~」

Chatwork株式会社は、ビジネスチャット「Chatwork」の開発運営を行う企業。 越ヶ谷様からは、売り上げに関する施策として、企業として「誰に何を届けるか」はもちろんのこと、「私は何を届けるべきか?」を考え、会社の施策に自分の価値を乗せていくことが大切だという話がありました。

・企画の前に、会社・自分が何者であるか問う
・お客様に何を伝えたいか、理解してほしいかを考える
・それを伝えるためにはどうすればいいか考える

越ヶ谷様は、お客様に「働くことはそもそももっと面白いものですよ」と伝えたいと考えておられるとのこと。事例として、Chatworkがイベント出展した際、コンセプトや製品を伝えるために他とは違うブース設計を行い、好評を得られた例をご紹介いただきました。

最後は、マーケティング脳を鍛えるために「誰のためのあなた」であるかを考えてみて下さい、というメッセージで締められました。

最後に

ゲームを通して経営の疑似体験ができたり、企業のマーケティング戦略を直接聞けたりと、まさにタイトルの通り、マーケティングのコアとなる考え方をしっかり学べる貴重な時間となりました。当日はあいにくの大雨だったのですが、お越し下さった学生の皆さんにもご満足いただける内容だったのではないでしょうか。企業と学生さんをつなぐ、とても興味深いコミュニケーションイベントでした。